いくつかの再挑戦(書字の訓練編)
前回(いくつかの再挑戦(原始反射残存の見極め編))書字などに不都合が起こり得る原始反射が残っているかも?というお話をさせていただきました。
ただ実際に原始反射を消していく作業やその効果は少し時間をかけながら行っていく事になりそうですので、じゃあその間に書字に関しては私にしか出来ないアプローチをしてみようと思い立ったので、今回はその内容を記録させて下さいね。
幼稚園年中の暑中見舞い
過去のブログを読み返していたら当時4歳だった息子の字が出てきました。
精一杯心を込めてたっぷり時間を使いながら書いた暑中見舞いのハガキで、その頃通っていた幼稚園の先生に宛てた手紙です。
確かにこの頃を思えば・・・今の息子の字は随分と成長したなぁとは思うんです。全く書けないわけじゃないですから。ただ書きたくない気持ちが強すぎて字を書く場面ではかなりの抵抗をみせてしまいます。
だから・・・覚悟を決めました、私。
ちょっと心を鬼にしてでももう一段階引き上げて、字を書く事に自信を持てる様にしてやりたくなりました。
ただしそれは一か八かではなく、字を書かせる事には少しだけ自信があったからなのでした。
母の影響
私の母は以前(きっと来るいつかの為に。)書かせていただいた通り看護師をしていたのですが、私たち姉弟を育てる様になってからは看護師に戻る事はありませんでした。子どもが学校などから帰ってきたら「おかえり。」と迎えたかったから、だそうです。
そんな母にある転機が訪れました。
彼女は好きだった書道を私たち姉弟が習い始めたのと同時期に習い始めたのでした。そして驚く程のスピードで技術を習得し、気付けばいつしか書道家になっておりました(^▽^;)
大きな作品展への出品などの傍らお寺の石碑用の書の依頼であったりお酒のラベルの依頼を受けたり・・・様々な字に関するお仕事に携わらせていただいていた様です。
ただ自分が書く事よりも誰かにその技術を伝えたい気持ちも強かったらしく、私たちの子育てがある程度落ち着いた頃には書道教室を開いて大勢の子ども達に書道を教える様になっていました。
眼を鍛える日々
そんな母に付き合わされ(?)私はいつも子ども達が教室で書いた字を評価する役をさせられていました。
「この子の字、先週の字とさっき書いた字、どっちがいいと思う?」
受験勉強の合間に息抜きの気分で評価作業に付き合ううちに、
「随分今日はせっかちな字を書いてる気がするけど何かあったのかな?先週の方がいいと思うよ。」
とか
「全体的にはまだまだ書き込まなくちゃいけないんだけど、この右はらいに魅了されてしまう。どうしようもなく惹きつけられる良い線ね、味があるね。」
なんて好き勝手に批評していました(笑)
だけど毎日の様に見ていると面白いものです。
その子の今の力量では到底出せないと思われる線を見よう見まねで一生懸命工夫した事が伝わってきたり、コツを体得した事がわかる様になってきたり、多分手を抜いたな~というのがバレバレな字がわかる様になってしまうのです(^^;)
こうしてあの頃たくさんの子達の字を見てきたからこそ、今の息子の字も諦める程でないと感じていましたし、この子もたまにキラリと光る良い線を書く事があるのでその点をもっと伸ばしてやりたいなぁと率直に思う様になりました。
4月から6月までの2か月間
まずは学校に慣れる事から、という事で宿題にはほとんど口を挟まずただただ様子を眺めるだけにしておきました。
↑は宿題が始まった頃の字です。
明らかに小1のピーク時から比べると・・・随分運筆する力が衰えてしまった様子がうかがえました。漢字の”雪”に関しては初めて書く字という事もあって非常に筆圧も弱く特に横線が不安定ですね。唯一赤丸をつけた”ら”の最後の払いの力の抜いていく様子にキラリと光るものがある様に思います。少しづつ力を抜いていくのって案外難しいかなと思うんですね。
↑本格的に取り組み始めたのが5月の後半から。
まずは1年生の時に綺麗な形をとる事が出来ていたひらがなの”か”や”を”、本人の得意な”ん”や”む”などを取り戻す様にし、その後他のひらがなも順次対応しているところです。
4月の時点では”し”の縦線などは筆圧が安定する三角えんぴつに変えてみると特に何もしなくても安定し始めました。筆圧の問題が大きいという事が一つわかりました。
”ら”などはマス目があれば縦長に書く事が出来、形や払い部分に余裕が出来てきました。目安がある方が書きやすい事がうかがえます。
漢字の”会”ですが、実はこれが一番彼の書字が進歩した証拠だと思っています。最初のやねの部分(人)が十分左右に広げられているからです。最初の一画目でイ(人偏)の様な狭い角度ではなくある程度思い切って広げる事が中々出来なくて苦労してきました。ここが十分広がると次の二画目も自然と外側に開いてくる様です。
息子は書字の際には右手を使います。ですから最後の払いは自分の右手で徐々に見えにくくなってきますよね。そこを最後までよく見たり、見えない部分を想像で補いながら鉛筆を進めていく感覚が少しづつ身についてきた様に思います。
だから↑の様に"人"や例えば"春"なんかも開くはらいが出来る様になってきてちょっとホッとしています(*^^*)
最初は漢字の宿題に1時間程かかる事もしばしばでしたが、最近は簡単な漢字の場合だと10~15分で済む様になってきましたし、私が横についていなくても自分だけで出来るのが何よりの進歩だと思っています。
<追記>
というかですね、この作戦は大らかな目で見守ってくれる別の誰かの存在が必要な事を書き漏れておりました(^^;)周囲に恐れる存在の人だらけだといくら字が上達しても心の均衡が保てなくなってしまっては元も子もありませんよね?
今のウチの場合は担任の先生が心の拠り所になって下さっている様なので、家庭で少し強めのトレーニングに出てみたという訳なのでした。
無理矢理推し進めて本人の負荷が酷くなるくらいなら・・・やらない方がいいカモ?しれませんネ。