ぎゅっぎゅっ、な毎日?

『ぎゅっぎゅっして!ゆっくりがんばる成長日記』(http://let-me-pick-you-up.hatenablog.com/)から派生した今現在の我が家の日記です。

絵に基底線(7歳10か月)

絵から成長を読み解く

息子を育てていく中で、何人か私淑する先生がいらっしゃいまして、その中でも今日は大橋功先生のまねっこを少しさせていただこうかなと思います。

 

メインブログの下記の↓記録の中で大橋先生の事をご紹介させていただいた事がありました。

let-me-pick-you-up.hatenablog.com

 

大橋先生は普段は岡山大学大学院の美術教育講座教授でいらっしゃるそうなのでなかなか直接お話しを聞く事は難しいのですが、私の住む地域では幸運にも年に1度先生のお話しをお聞きできる講座があるんですね。

 

先生のお話を聞くまでは、子どもが描いた絵から成長や発達を読み解く事が出来るなんて思いもよらず、子どもの絵に対する洞察や読み取り方は目からうろこなお話ばかり。

 

それだけでなく、子どもに対する向き合い方や接し方などは本当に穏やかで朗らかで明るくて優しい・・・いつかこんな人になれたらいいなと思わずにいられない、そんな素敵な先生です。

 

 

今日は先生の講座で以前教えていただいた内容で、最近の息子の絵を振り返ってみたいと思います。

 

 

頭足人と基底線が入り混じる

つい先日、お正月に手作り凧を作って凧あげをする機会がありました。

その時に描いた息子の絵が↓こちらなんです。

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じゃーん。

って、上手とか下手とか・・・あえて申しません(^^;)

下手でもこの子なりの成長がみられるポイントがたくさんあったのでピックアップしてみました(笑)

 

色が薄くて見えづらいので申し訳ないのですが、この絵には基底線といって絵の中の空間を区分けする線が描き込んであるんです。

 

そして中心のオレンジ色の丸い物体が息子なりの今年の干支、”イノシシ”の子どものうり坊なのですが、これも頭足人から少しだけ発展したような、丸い物体をイノシシに見立てて足や頭を付け足していく描き方なんですね。

 

わかりにくいので先ほどの絵に少し矢印などをくわえてみますね。

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画中のピンク色の3つが基底線など、空間を分けるために描いた線で、青色の丸で囲ってあるのが頭足人の様なイノシシです。

 

 

大橋先生のミニ講座の中で、基底線が出てくるとだいたい5歳の発達ラインと教えていただきました。そしてこの基底線を描き始めると”必ずあるものを描き始めるそうなのです。

 

そのあるものとは”空”です。

 

実はこの絵の中にも空があるんです。

真ん中のピンクの矢印で指した水色の線は息子が

「ここが空。」

と言いながら区切った線でした。

この基底線は”空と大地の中で、僕たちは生きている”という気付きなのだそうです。

なるほど、まさに今回は先生のお話しの通り、”空と大地”の基底線ですね。

 

こうして空と大地を意識しはじめると、自分や人間の大きさに気付くのだそうです。そうして絵の中に大小があらわれはじめる。

 

又、空を描き始めると”太陽”なんかも描き始めるそうです。

その場合は太陽は黄色か赤で描くとの事。

 

確かに!

実はこの絵の中にも太陽があるんです。

それがきみどり色の丸で囲った丸い物体なんです。

(本人は天体へのこだわりが強い為、太陽のオレンジ色はプロミネンスを表現し、中心はより赤く、更に核の部分は黒くしてみたそうです。)

 

 

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又、だいたい3歳頃のお子さんが絵を描く時にみられる本人の工夫として、頭足人という顔や胴体が全部くっついた丸い物体に手や足を付け足して描くものがあります。

 

この時に手足が付け足されるのは、子どもから普段見えている範囲と考えるとわかりやすいですよね。自分の体のパーツの中で手足って比較的見えやすい部分なので、こうした工夫がみられるそうなんです。(他にも顔を描く際に鼻はあまり描かない傾向にある等も教えていただきました。)

 

ですから息子の絵も(実年齢は7歳ですが)3歳~5歳程度までの認知をしていて、その結果としてこうした絵になったのだろうと思われます。

心の発達は遅れているかもしれませんが、ちゃんとこの子なりに成長しているんだなぁ・・・なんて思ってしまいました。

 

 

 

白い空間、白い絵の具

それでですね、先生の素敵なところはですね、

「大人は画用紙の白い部分が多いと塗りつぶそうとさせがちですが、そんな事はさせなくて良いんです。だって、今見えてる空気って色がありますか?子どもにしてみれば自分の周囲の空気は青くない。逆に子どもにしてみたら空気が青いなんて気持ちが悪い事かもしれませんよね。」

(数年前にお聞きした事なので先生のお言葉の詳細が少し違うかもしれませんが)確かこの様な事をおっしゃっていました。

 

何も色がない(背景が透明な)空間こそが子どもなりのリアリティなのだ、との事です。

 

 

又、これと同じことだと思うのですが、子どもは時に白い画用紙にわざわざ白い絵の具で塗り込む事があります。大人はそれを見ると

「えー、なんでわざわざ白い画用紙に白く塗るの?」

と思いがちですが、これも子どもの好きにさせて良いのだそうです。この子にしてみればそれがこの子の表現したい事ですものね。

 

 

 

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「子どもの絵に良し悪しは無く、全ての絵に子どもの学びや育ちがあり、まずは子どもの事に耳を傾けて全て受け入れてみる。」

 

「子どもに見てそれとわかる絵を描かせると無理があり、大人の方が子どもが表現した事を読み解いていく事が大事。子どもの今最大限に自分を活かそうと工夫している部分に気付いていく事が大切です。」

 

この様な事をおっしゃっていました。

 

 

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まだ幼稚園生だった頃の息子は言葉もまだまだ拙く、自分の心の中を表現しきる事なんげ難しい状態でした。

大橋先生のお話をうかがって、当時はあまり絵を描かない子でしたが、これは絵以外にも通じる事だなぁと率直に感じました。

 

以来息子が言葉以外の全身で表現しようとしている事や工夫・・・つまりノンバーバルコミュニケーションの部分をもっともっとしっかり見ていこうと考える様になるきっかけとなりました。

 

 

 

こうして振り返ってみると、また先生のお話を聞きたくなってきました(*^^*)